以下、社会保険庁がかかげている年金記録問題への取り組みである。
政府においては、平成19年7月5日に年金業務刷新に関する政府・与党連絡協議会が取りまとめた「年金記録に対する信頼の回復と新たな年金記録管理体制の確立について」の実施作業を順次進めております。年金記録問題を一掃し、公的年金に対する国民の信頼を回復するため、全力を挙げております。
平成8年までの公的年金制度は、皆様がご加入されていた年金制度の種類ごとの番号により、年金記録を管理していました。
そのため、会社から自営業に転職されたり、結婚して退社するなどにより加入する年金制度の種類を移動した場合は、お一人で国民年金や厚生年金などの複数の番号を持つことが多く、その結果、日本の人口を大きく上回る約3億件の年金記録が存在していました。
その後、平成9年1月から、統一した共通の番号で皆様の年金記録を管理することとし、お一人お一人に付する基礎年金番号を導入しました。
基礎年金番号制度を導入するに当たっては、まず、その時点で現に年金を受給していた方と現役加入者の方全員に基礎年金番号を付番し、これを通知しました。(約1億156万人)
その際に、
@他の年金制度に加入していたことがあるか又は他の手帳記号番号を持っておられるかのいずれかに該当する場合はその旨を申し出ていただくよう照会を行い回答を寄せられた方(約916万人)、
A基礎年金番号を付番した記録とその他の記録について、氏名、性別、生年月日による名寄せを行い、これらの結果、統合の可能性があると思われた方(約902万人)の合わせて約1,818万人の方に対して照会を行い、照会に対するご本人の回答に基づいて基礎年金番号への統合を進めました。(約927万人)。
その後も、加入者からの年金の請求時やその直前(いわゆる58歳通知の時)にも、ご本人に確認し、基礎年金番号への統合を進めてまいりました。
その結果、平成9年1月以前において約3億件存在していた年金記録のうち、約2億5千万件の年金記録が統合されましたが、平成18年6月現在でまだなお約5,095万件が基礎年金番号に結び付かないままとなっています。
政府としては、これらの問題のため、次の工程に沿って、この問題の解決のため、全力をあげてまいります。
【 年金記録に対する信頼の回復と新たな年金記録管理体制の確立についての項目一覧】
1 名寄せを行うためのシステム開発
(1) 約5000万件の未統合記録の名寄せを行うためのシステム開発
@ システムの概要
A 記録の内容の解明
(2) 「1430万件」・「36万件」のマイクロフィルムのデータを磁気化し、すべての加入者のコンピュータの記録と名寄せ(併せて結果の通知)
2.その他の取り組み
(1) 共済過去記録の基礎年金番号への統合
(2) 基礎年金番号の重複付番の解消及び発生防止
(3) いわゆる無年金者の方への年金記録問題に関するお知らせ
(4) 厚生年金基金と社会保険庁の記録の突合せ
(5) 旧令共済組合員期間の厚生年金被保険者期間への通算に関する制度の周知
3 すべての方への加入履歴のお知らせ「ねんきん特別便」
4 すべての方への加入履歴のお知らせ「ねんきん定期便」
5 コンピュータの記録と台帳等との計画的な突合せ
(1) 突合せ作業
(2) 進捗状況の公表
6 年金記録確認第三者委員会における記録確認(総務省)
7 相談体制の拡充
(1) すべての市町村において、社会保険労務士の協力も得て巡回相談を実施
(2) 企業ごとの「年金相談窓口」の設置など、日本経団連、日本商工会議所及び全国商工会連合会の協力により、企業等における年金に関する相談機能を充実
(3) インターネットによる年金記録照会
8 相談への対応状況の定期的な公表
(1) 電話相談の応答率
(2) 社会保険事務所での来訪相談の待ち時間
(3) 電話による年金加入履歴申し込み後、加入履歴を申込者に送付するまでの期間
9 その他の課題への対応
(1) 年金時効特例法により年金の増額の対象となる方々へのお知らせ
(2) 保険料着服への対応
10 年金記録問題検証委員会による検証(総務省)
11 年金業務・社会保険庁監視等委員会による監視(総務省)
なお、この約5,095万件の年金記録については、その工程に沿った取組のほか、日々の年金相談等によっても記録確認が行われ、記録の統合が行われております。
9月10日の年金業務・社会保険庁監視等委員会(第3回)には、この約5,095万件の年金記録のうち、約524万件に、氏名、性別、生年月日の1つまたはそれ以上の項目が欠落していることが分かったことを報告しました。
ただし、これらの約524万件の記録から1,000件を抜き出し、その記録にあった年金手帳の記号番号を手掛りに、年金手帳を発行したときの帳簿などと照合することにより、1,000件すべてについて名寄せを行うための補正が出来たことも報告しました。
これにより、氏名、性別、生年月日のいずれかが欠けている5,000万件の年金記録については補正を行った後に名寄せを行うことを予定しています。